最初にお施主さんが尋ねて来られたのは2020年の春だった。 それから敷地探しの相談も受けつつ漸く土地が決まったのは大凡一年が経った頃だった。 まず最初に敷地に拘られるお施主さんは沢山いらっしゃる。どのような敷地であっても、その状況を生かした住宅設計はできるが、良い敷地を選択した方がより良いことには変わりない。 だから、敷地選びの相談も喜んで受けている。 設計を始める前の打ち合わせは、他愛もない話から始まり少しづつご要望を膨らませていく。 この住宅では「ひんやり感」が大きなキーワードとなって頭の中に残っていった。 間取りなど形の話よりも空気感が大切なのだと感じた。もちろん間取りについては、お施主さんとお話しした事をいろいろな角度から総合的に考えて細かく練っていった。 外まで室内が広がっているかのような、または窓を開け放ってキッチンに立てばまるで外にいるかのような空間をつくる為に、平面計画はコの字型のプランとした。 これによって、カーテンなどのスクリーンを開けたまま暮らせるようになり、実際の床面積以上の広がりを手に入れた。 平面プラン、所謂間取りは、壁で囲われた部屋を寄せ集めるのではなく、家全体の空間がだらりと繋がるようにした。 この空間のあちこちには家族それぞれの居場所があり、付かず離れずの距離感で過ごす事ができる。 全体的には、ひんやり感に繋がっていくように陽当たりと陰に気を配り、風と共に暮らせるようなデザインをした。 床はタイル、壁はモルタルで仕上げた浴室。 専用住宅:木造2階建て 敷地面積:242.57㎡(73.37坪) 延床面積:112.00㎡(33.88坪)
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