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笹ケ根1308SA
名古屋市(2015)





比較的新しい住宅街の緩やかな坂を上がって行くと、その一番上の角地にこの建物が建つ敷地があります。南側と西側に道路があり、北側・東側には住宅が建っているごく一般的な環境です。

お施主さんは、飲食店を経営し5人家族で男の子3人を育てるご夫婦です。
大きな要望は2点あり、一つ目は、大きな軒下のような空間が欲しい、そこで子供達と工作をしたりしながら集いたい。
二つ目に、兎に角丈夫にしてほしい、子供達が暴れてもへこたれないような建物にしてほしい。それは同時に長期的に愛着を持って住める住宅にしたいとの事でもありました。
また、施主さんとの話を進めるうちに、家に居ながらにして別荘にいるかのような非日常的な過ごし方ができる事が大切だと感じました。

プランは、敷地の四方からの目線が気にならないように中庭の周りに建物と塀を配置し、その中庭の南側に南面及び北面が6mの幅全開口になる土間を設け、更に南側の庭へと続きます。
南北の庭に挟まれた位置関係の土間は、建物(内部)と庭(外部)が交差する交点にあたり、サッシを閉めれば室内に、サッシを開ければ軒下空間のようになり中庭・土間・南側の庭までが外部として連続するようにして、外部空間を日常的に使い易くすることを狙っています。
この土間は、内と外の曖昧な空間というよりは、サッシの開け閉めによって完全に内にも外にも変化する空間ですが、サッシを開けた状態の夜においては、土間の南側と北側にある庭との一体感が増し内とも外とも言えない不思議な感覚を得られる空間になります。

そして、長期的に愛着を持って住める家の1つの回答として、ごく当たり前ですが手入れを行い易い家という考え方に行き着きました。
建物の素材は、その殆どに無垢の杉を使用し、外壁は「機能」と「装飾」を完全に分ける仕様としました。
厚さ40mmの無塗装の杉板を5mmづつ透かしてビス留めとし、その下に通気層を設けガルバリウム鋼板を貼っています。
何十年か後にビス留めの外壁の杉板を外して鉋をかけ、それを再び貼り直して蘇らせるという想定をしていますが、これは「装飾」としての杉板を外しても、「機能」としてのガルバリウム鋼板の壁で風雨はしのげる事により成り立ちます。
板厚は40mmもあるので数回は鉋をかける事も可能でしょう。また、一部が傷んでもその部分のみを交換する事も可能なので、補修も容易でありエコであると言えます。
内部においても床板は厚さ36mm、壁と天井も杉の無垢材なので同様の事が可能です。

厚い杉板を使用する発想は、基本プランの計画中に訪れた製材所の小屋の外壁に無塗装の曳きっぱなしの厚い杉板が使われていた事に始まります。無塗装でも赤身であれば数十年は持つとの話を聞いた事、同時に立て掛けてある杉板の日陰部分は夏場でも涼しい事などを体感し、厚い板を立てかけるような感じで外壁を作りたいと考えていたのです。
こうして、完成した建物の外観は杉板の質量を感じられる迫力のあるものとなりました。




建物南夜景。




建物南面。




中庭の樹木はヤマボウシ。




この住宅の中心となる中庭・土間・南の庭を見る。




土間の南北は全開口の木製サッシ、夏場は全面網戸を閉じて過ごせる。向こう側は応接室。




南の庭より土間を見る




全開口のコーナー窓とソファー。角は特等席。




応接室とコーナーの開口部。




階段室より土間の書斎を見る。左手が中庭。




階段室の書斎コーナー。




約1.5mづつスキップする各階と階段。各階の近さを感じる。




オリジナルの幅6mのキッチンカウンターとシンク一体の食卓は長さ3.5m。
天板と扉は無垢のチークを使用。




棚にはさまざまな道具も吊り下げ可能。カウンターでの作業をスッキリと。
壁はビサッサのガラスモザイクタイル。




応接室から食堂までを貫く照明ラック。
応接室上部の開口部は寝室への通気口。




応接室全景。




勉強コーナーを囲む寝室と子供室。




勉強コーナーより子供室を見る。間仕切り壁は3cm厚の杉板。




主寝室の書斎コーナー。




洗濯室より中庭を見る。




薪ストーブと夜の土間。








中庭より土間を見る。




夜は南の庭・土間・中庭の一体感がより一層増す。




外部に座っているかのような感覚を得られる応接室のソファー。




キッチンより応接室を見る。




道路横から庭へと続く石畳。



専用住宅
木造2階建て
敷地面積:299.34㎡(90.55坪)
述床面積:220.00㎡(66.55坪)



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